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ワインの価格と価値 (バースデー記念labo)

  • 執筆者の写真: peko
    peko
  • 2023年9月24日
  • 読了時間: 4分


ロマネ・コンティというワインがあります。

あなたは一度でいいからロマネ・コンティを飲んでみたいと思っています。

ここにロマネ・コンティのスーツケースクローンから出来たカリフォルニアのピノ・ノワールがあります。

価格はロマネ・コンティの1/30です。

さて、あなたはどちらを選びますか?


結局のところ、あなたは「ロマネ・コンティ」というものに「世界一高く希少なワイン」を飲んだという見栄だけでなく、「ルイ王朝の時代にコンティ公が飲んでいた」などのこのワインが持つ歴史や背景を共有したいと思うわけです。ロマネ・コンティを飲むことは、ブルゴーニュの歴史を飲むことであり、ヴェルサイユで優雅に暮らしたコンティ公の生活を垣間見ることでもあります。



8月にラボでやりましたワインの格付けです。

パリ万博を機にナポレオン3世の発案で1855年に始まったもの。

一番有名なこのメドックにおける格付け一級の5大シャトーですね。


ニクソン大統領と周恩来首相の写真

1972年のニクソン大統領の中国訪問は「平和への乾杯」というこの写真が有名です。

この後、モスクワでソ連との協定が結ばれました。この時のワインが、シュラムスバーグというカリフォルニアのスパークリングでした。


ロバート・パーカーという一人のワイン誌編集長でありテイスターの登場と共に出てきた「カルトワイン」という言葉。手に入りにくい→優越感を満たすもの という構図から、手に入れたい欲求を刺激し、価格がどんどん膨れ上がる現象が起きています。

写真のスクリーミング・イーグルは、元は75ドル→5145ドル になっています。

ここまで高くなくてもカルトワインと言われるワインはたくさんあります。


沈没船から発見されたシャンパーニュ

写真はタイタニック号ですが、1912年に沈没して、1985年に発見された時、エドシックやヴーヴクリコのシャンパンは生き生きして内部の泡も残っていた状態でした。


また、国際宇宙ステーションで熟成させたシャトー・ペトリュス2000vtは、地上で熟成させた同ワインよりも2~3年熟成が進んでいました。


主催者は英国人で、アカデミー・デュ・ヴァンというワインスクールの創始者であるスティーブン・スパリエ。場所もテイスターも全員フランス人でしたが、白も赤も当時無名だったカリフォルニアワインが選ばれました。30年後、40年後、そして最後に2017年東京にてリターンマッチが行われましたが、結局、フランスが勝つことはありませんでした。

勝ち負け以上に、当時は特にフランスワイン至上主義だった時代、世界にカリフォルニアワインが認められたということが大きかったのです。そして、今のカリフォルニアワインの原点とも言える出来事でした。

(「パリスの審判」という本があります。詳しくはそちらをどうぞ)


結婚とか何かの節目にふと飲みたくなる自分と同じ年月を経たワイン。これ、歳をとるほど探すのが困難になります。もちろん、ワインなら何でもいいわけではなく、長期熟成に向いたワインしかどのみち残っていませんが、そういったグランヴァンは、価格も高額です。例えワインがもうダメになっていても、生まれ年のワインを飲むことに意義があるので、あなたの心は満たされるでしょう。


また、あなたにお子さんが生まれた時に、それなりのワインを入手するというのはとてもいい方法です。

現行ヴィンテージならグランヴァンでもまだ安く購入できます。ただ、熟成をさせるのにセラーが必要ですが、あなたの代わりにワインを預かってくれるビジネスもあるので、利用されるのもいいかもしれません。


その他に、映画やドラマの中に出てきたワインや、ハリウッドスターが所有するワイナリーのワインなど、上げればキリがありません。

そういったブランド・バリューは、ワインを好きになりたての人ほどとらわれがちだそうで、日常的に飲む人ほどブラインド・テイスティング、つまり自身の舌を尊重するようです。

とは言っても、日本を含め世界のワインオークション界は盛況で、9月に東京で行われたオークションの落札総額は3億円を超えています。


あなたは、いくらまでなら中身以上の価値に対価を払いますか?

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